沈んだ歌姫
[第十二巻 741頁]
二人の歌姫 沈むのはいずれか…
紅の歌姫と称されし Firenza領主 Firenza公爵家の令嬢
Roberia Maria Della Firenzaの手番(Turn)
遊戲盤(ばん)の上を駒が進む…
<聖都Firenza及び南都Naporta → 紅の歌姫の後援都市>(Firenza Naporta Patrono di Roberia)
歌え!紅の歌姫(Roberia) 目指す舞台は
優雅にして華美なる(Elegante e Sfarzoso)麗しの王都Romana
蒼の歌姫と称されし Milana領主 Viscontie公爵家の令嬢
Giulietta Simone Del Viscontieの手番(Turn)
代わる代わる駒は進み…
<北都Milana及び水都Venera → 蒼の歌姫の後援都市>(Milana Venera Patrono di Giulietta)
歌え!蒼の歌姫(Giulietta) 目指す舞台は
優雅にして華美なる(Elegante e Sfarzoso)憧れの王都Romana
{紅く燃え上がる情熱の歌声と華やかな容姿(figura) 私こそが<最高の歌姫>(regina) }
{蒼く湧き出づる清廉の歌声と穏やかな微笑(フィリフス) 私こそが<最高の歌姫>(regina)}
諸侯を巻き込んで 宮廷に蠢く影は 権謀の黒き獣(Bestia) 争いの宴(Festa)は続く…
{田舎貴族の娘(Giulietta)が望むには不遜な 至尊の寶冠(Tiara) }
{色惚の年增娘(Roberia)が望むには不遜な 至尊の寶冠(Tiara)}
{頭上に戴くのは紅の歌姫(Roberia)こそが相応しい… }
{頭上に戴くのは蒼の歌姫(Giulietta)こそが相応しい…}
...「王妃陛下万歳!(Evviva! Regina!)」
[見なさいRoberia...
今やNaportaまでもがお前の手に落ちた
後はViscontieの小娘さえ退けば、
晴れてお前が王妃陛下だ…]
時は…Itania暦312年
国王Motefeltrano四世 突然の崩御
若き王太子Alessandro
Alessandro一世として即位
[あんな田舎娘に私が負けるはずありませんわ]
[あぁそうだとも…だが憂いを全て断つに越したことはない]
Itania<最高の歌姫>を
王妃として迎えるという勅令を発布
野心を抱いた地方領主/門閥貴族
各々に歌姫を立て王都を目指し進撃…
[まぁ...お父様ったら…]
[下賎な歌姫など身分の卑しい売女も同じ
まして逆賊の娘など 売女以下の面汚し ]
駈ける駆ける獣(Bestia)…
高值で売れるなら娘でも売れ
売值は望む得る限り高く
猛る猛る獣(bestia)…
敵を売れ 味方を売れ
他人(ひと)の娘など底值で売りつけてやれ
[可愛いRoberia...<最高の歌姫>はお前だよ...]
[あら...頼りにしてますわ お父様・・・]
咆える吼える獣(Bestia)…
弒逆を謀った逆賊として
Del Viscontie一門処刑
屠る屠る獣(Bestia)…
逃亡を図った国賊として
Del Viscontie令嬢を処断
[Giurietta... お前は<最高の歌姫>
我が一門の希望だ...
私の力が及ばないばかりに...すまなかったねぇ…
せめてお前だけでも逃げなさい…]
「騙し騙され…殺し殺され…
よく飽きもせぬものだ…
全ては遊戯(Game)に過ぎぬ…
予を生み堕とした…
この世界に復讐する為のな…!」
逃げる乙女と 追い駆ける獣(Bestia)
紅糸で手繰る 操り人形(Marionetta)
繰り返される 歌劇(Lirica) 悲劇(Tragedia)
紅糸で手繰る 操り人形(Marionetta)
牙を剥いた獣(Bestia) 追い詰められた断崖
歌を奪われた歌姫 世界までも奪われ…
「Roberia王妃陛下万歳!(Evviva! Regina! Roberia!)」
[お父様ぁ!]
蒼い空 碧い海 飛び去りぬ白鴉 沈み逝く歌姫
歌姫Giuliettaの沒後…王妃Roberia在位僅か3年にして
寵妃Beatrice宰相Galeazzoらの共謀により 歴史の闇に沈む…
君よ驕ることなかれ 我等
歴史という大海に漂う小舟に過ぎぬ
盛者必衰 沈マヌ者ハナシ…